「ロカルノ映画祭」のこと8

2009/08/12

コンペ作品の『サマーウォーズ』観る。
長野県上田市が舞台のこの映画を観ながら、ずっと上野のことを考えていた。
上野と言うのは、知る人ぞ知る鬼才、上野俊哉監督のことで、出身が上田市なのだ。
「ああ、あいつともしばらく会ってないな。元気にしてるのかな」
などと考えている内に、あいつと行った、長野の温泉のことや、連れて行って貰った美味い蕎麦屋のことなどを思い出し、いたたまれない気持ちになってきた。
息子もこの映画に誘ったのだけれども、キッズコーナーに友だちが出来たらしく、そっちに行くと言うので、奥さんと一緒に観た。
いい歳した夫婦が、アニメを観ると言うのもなんとも奇妙だ。
だいたいからして、ここにいるのは、日本のアニメの掛かっている劇場に来る観客とは全く違っていて、何とも、アカデミックな臭いがするし、コンペなので、審査員も観ているだろうし、奇妙奇天烈だ。
舞台挨拶の細田監督も幾分興奮気味だった。
先に出て、外で、奥さんを待つ。
「寿司食おう! 寿司!!」
と、ボクが突然言う。
「今夜は、何としても寿司だ!!」
奥さんが、嫌な顔をしている。

しかしながら、その夜は、寿司となった。
寿司といっても、握りずしが食べられるわけでもなく、日本からもって来た五目ちらしのもとをご飯にまぶすだけ。
しかし、美味い。
顎が、じーんと沁みて来る。
赤ワインを飲む。
このちらし寿司のご飯も、スーパーの外米ではなくて、日本米。
つまり、「サトウのごはん」だ。
「お父さん。さとうのご飯てさ、砂糖のご飯なの?」
と、息子がきくから、
「砂糖のご飯なんてないだろ」
と、言ったら、
「ご飯に砂糖を掛けたって意味!」
と、怒られた。
「違うよ、サトウさんと言う人の作ったご飯だよ」
と言ったら、知らん顔して、
「砂糖で出来てるご飯なんて、あるわけねーだろ?!」
と、言うので、
「ご飯は、炭水糖と言う糖分なんだ」
と、言ったら、
「ありえねー」
ときた。
最近、息子と話すと言い負かされるのだ。
顔がひん曲がるような気分になる。