再び、『白夜』について考える。

自作の映画を、制作も終え、公開半ばで、考えると言うことは、いままであまりしたことがなかった。
大体、一本映画を完成させると、夢の中でしか、その映画のことは、思い出さない。
初出の映画祭に行けば、いやおうなく、観ることになるのだけれども、細部にばかり気がいってしまって、全体のことは、ほとんど観てない。
だから、『白夜』も、最後に観たのは、いつだったか。
確か、初号の日だったように思う。
しかし、初号と言うのは、フイルムとして観る、最初の日なので、これまた、細部は気になるものの、全体のことに気持ちが行かない。
頭では、「ここ、もう一度撮り直したいな」とか、「ここは、音を足したいな」とか、「ここは、編集、やりなおしかな」とか、そんな事ばかりを考えている内に、映画は、終わってしまう。
「完璧だ!」
なんて思う映画は、一本もない。
だから、
「もう二度と作らないぞ!」
と、思う。
どんなに丹精こめても駄目だ。
それでも、『白夜』は、未だに気になって仕方がない。
と、言うのは、エンディングだ。
と、言うか、吉瀬美智子演じる朋子のラストカット。
朋子は、川に身を投げて死んだのだけれども、そうは受けとっていないお客さんがいると言うことだ。
これは、ボクとしては、失敗としか言いようがなく、
「済まないことをしたな」
と、思うのだけれども、作り手としては、それぐらいは、前後の文脈から、読み取って欲しいなとも思う。
苦労して、行き着いたエンディングだ。
画面のブレも、何もかも、その辺に集約しての演出だったのだが…。