「ロカルノ映画祭」のこと1

2009/08/05
空港で、「ワカラナイ」の主役つとめた小林優斗と待ち合わせ。
同姓だが、彼とボクは、親戚でもなければ家族でもない。
映画の撮影は、一年前になる。
随分と彼も様変わりしていた。と言うか、撮影前に戻ったと言ったらいいのか?
ごく普通の青年になっていた。
急遽、ボクの家族もロカルノへ行くことになったのだが、同じ飛行機がとれずに、まずは、家族の方の搭乗を見送り、ボクらの乗る飛行機のゲートに移動する。
エコノミークラスが満席で、ボクらは、運良くビジネスクラスの席となる。
とは言え、乗り込んだとたんに、眠ってしまい、食事もそこそこ。
気がついたら、ロンドン、ヒースロウ空港に到着。
エアポート3からエアポート1に移動。
以前は、この空港にも、喫煙室があった。
しかし、その喫煙室に行くのには、困難を極めた。
どこだったか忘れたが、ただでさえ、トランジェットには、困難を極めるのだ゛が、更に、その喫煙室は、空港の端にあり、通路をずっと歩いて、階段を幾段も登らないとたどり着けず、そこで一服して、ゲートに戻ったら最後、二度と、行く気をなくすような処にあったのだ。
それに懲りて、ボクは、ヨーロッパに行くとき、この空港は利用しないことにした。出来れば、外に出られるパリ/シャルル・ド・ゴール空港がいいのだが、そうでないときは、オランダのアムステルダム空港にする。アムステルダムの空港には、特別、喫煙室はないのだが、中のバーでは、タバコが吸える。ビールを一杯注文すれば、もう、大丈夫。搭乗時間まで、そこでのんびり出来るのだ。
そんな訳で、禁煙を強いられたボクは、それこそ、『ブロードウェーダニー・ローズ』よろしく、ぜえぜえ言いながら、搭乗時間までゲート前の椅子で、頭を抱えていた。
そして、搭乗が開始すると、飛び乗るように、ミラノ、マルペンサ空港行きの飛行機に乗った。

ロンドンからミラノまで、約二時間。
冷たいサンドイッチが出て、ビールと一緒に流し込む。
相変わらずヨーロッパの機内食のひどさといったらない。
いつも食べてしまつてから後悔する。
でも、食べておかないと、現地には深夜に到着で、空いているレストランもないので、腹が減る。
で、仕方なくいつも食べるのだが、今日も、後悔する。

マルペンサ空港には、定刻に到着。
パリ経由のボクの家族の乗った飛行機の到着を待って、映画祭の迎えの車に乗り込む。
ここから国境を越えて、約二時間。
一年ぶりとなるロカルノは、蒸し暑い。
ホテルは、五年前に泊まったホテルで、部屋も同じ。
去年は、審査員だったから、更にいいホテルだった。
しかし、仕方がない。
今回は、裁かれる立場なんだからな。
しかし、このホテル、使用禁止にはなっているが、キッチン付きだ。
そこが何よりいい。
「migros」と言うスーパーが歩いて五分ほどのところにあって、そこに行けば、大体のものは、揃う。
米も売っているし、もちろん、パスタもあるので、擬似日本食は、食べられる。
明日の午前に、プレス試写があり、公式の上映が明日、4時15分から。
ホテルのフロントに、10時30分に迎えが来る旨のメモがあり、部屋で、簡単に優斗と打ち合わせをする。
「とにかくな、気楽に行こうな、気楽に」
「はい!」
「だからさ、そうじゃなくてさ」
「はい!」
「だからさ!」
「はい!」
既に、優斗は緊張している。
「ま、とにかく、じゃ、そう言う事で、おやすみ」
優斗を寝かせなくてはならないと、打合せは、五分で切り上げる。
既に家族は、長旅の疲れで眠っている。
「よし!」
と、一言呟いて、一杯やる。
冷蔵庫のビールは、ハイネケン
グイと飲み干して、もう一杯と行きたいところだけれども、ホテルのビールは高いので、歯を磨いて寝ることにした。